『放課後倶楽部』の活動日記

放課後の語り場。部員募集中。

笑顔が元凶

あの精神科デイケアのスタッフはとびきりの笑顔をしている

心の弱った男性利用者はみんなその笑顔に癒され励まされ魅了されている

そのスタッフは自分の笑顔に自信をもっている

笑顔で、苦しみ、弱った利用者の居場所を作れるよう笑顔を絶やさない

可愛らしい見た目と愛されるキャラクター性をもっている

デイケアスタッフに任命している精神科医も、彼女の賢明さと明るさを評価して、そのポジションに配属しているのだろう

しかし、その笑顔が癌である

デイケア内でストレスフルな人間関係を生み出し、憩いの居場所となっていない元凶である

その女性スタッフは利用者を魅了し、恋愛感情をもたせたり、あるいは依存させている

もちろん悪意などないし、笑顔を心がけていること自体がしっかり仕事していることの証なのだ

 

マクドナルドのハンバーガーはあまりうまくも無いのにたまに無性に食いたくなる

依存的なジャンクフードである

マックのクルーはそれでも気持ちのいいスマイルを見せてくる

その女性スタッフの笑顔も、そんなようなもので、中毒性のある恋愛的依存感情を引き起こしている

 

恐らく、彼女は、天使になりたいのだ

優しくて、時に、ネガティブなことには厳しくムチを振るうような天使に

だから、依存している利用者に、笑顔を向けつつ、あくまで治療者としての厳しさも時折垣間見せる

それで相手が辛い思いをしても、治療には時には厳しさも必要なのだという「正しき信念」を身に纏って自分を律している

 

あわや自分が利用者に好意など持ってしまっては治療者としては失格だし、利用者のためにもならないのだ

だから絶対に好意に応えることはない。

利用者がどれだけ純粋な恋愛感情や依存に苦しんでいたとしても

そんな、アメとムチを振るう天使として苦しんでいる人を救済したいんだ

 

彼女自信もかつて離別に苦しんだらしい

今はそれも、人生の勉強と成長への糧として、受け入れようとしているようだ

その価値観がデイケアにも浸透している

人とのつながりも、出会いありきの一期一会なものと心得よと

しかし、それではデイケアは、憩いの場というよりも、辛さを乗り越える修行の場になってしまう

もちろんそういうデイケアもあってはいいと思うが

 

彼女は、甘さだけでなく厳しさも併せ持った質の高い天使になることを欲しているのだ

人は誰しも上を目指す

彼女も例外ではない

そして天使になりたいという自己欲求だけではなく、人のためになりたいという気持ちも嘘ではないのだ

そのようなことだから、可愛らしい上に、治療者としての魅力も加わり、どんどん依存者を作り出して行く

デイケアの人間関係は、その女性スタッフを含めた異性をめぐる競争意識や、もっと依存して甘えたいのに、あの人は、自分以外の誰それと話しているといったような、嫉妬や優劣意識を起こしたりしする

他の女性利用者は自分も誰かの好意を得て自信を持ちたいなどという気持ちを起こす

誰が誰をどう思っているか

支配被支配の関係やいじめめいたものが生み出されてくる

自分を優位に見せて気を引こうと必死になる

ぐちゃぐちゃとしたパワーゲーム

 

元凶はその女性スタッフの無邪気で素敵な笑顔にあるのだ

連絡先交換や院外交流はもちろん禁止

飢えた犬の前に餌を置いて、食べたら罰すると言っているようなものだ

残酷だが、それもデイケアの健全性を守るという正論の前には致し方ないのだ

ならば、その女性スタッフをばあさんのスタッフにでも変えればいい

そうすれば、異性をめぐるギスギスした人間関係は取り払われ、のびのびとしたデイケアになるだろう

安心安全なデイケアが実現するかもしれない

 

彼女の笑顔はみんなを幸せにする

しかし、それは依存と報われぬことへの絶望という毒に変わるのだ

彼女は、それを克服してこそ治療という、天使だが悪魔のような厳しい信念をもっている

それが彼女の糧なのだ

天使へ至る道だから

 

しかし、その厳しさが、弱者の居場所を奪ってもいる

安心安全な居場所という建前を嘘っぱちにする

その厳しさは本当に治療につながっているのか疑問である

むしろ多くの人が心身に不調をきたしている

 

笑顔は薬にも毒にもなり得ると知った

そのデイケアにおいて、異様な人間関係のストレスに弾かれ、不幸に陥った者にとって

彼女の笑顔は、元凶であったと思う