俺はあの人に好意をもっていたのに
あの人は他の男と結婚してしまった
俺は、2年もの間何も知らずに
そういう相手はいないものと勝手に思い込んでいた
相手に根拠のないネガティヴなレッテルまで貼って、歪んだ好意、いや、依存に溺れていた
しかし、結婚したとしても、あの人の愛は依存の愛に違いない
わがままな女とわがままを聞いて自尊心を満たす組み合わせ
だから長くは続かない
また、そんな根拠のない思い込みをしては
やがてまた自分にもチャンスがあるかもなど、めらめらと欲が沸いてくる
依存に苦しんでいるのは自分自身じゃないかという自己否定感に苦しむ
だから、あの人との関係を考察し、好意に対する理不尽な仕打ちと不当な苦しみに思い至って、愛が憎しみに変わって、断ち切ろうとしても、断ち切れない
逆に相手を祝福して穏やかなる赦しの境地に立とうとしても、時間が経てば怒りはもたげてくる、脆すぎる仏心
未練があるから、関係ないと言い聞かせても断ち切れない
惚れた弱み、所詮、男は見た目が可愛くて美人な女に心を鷲掴みにされてしまうんだ
どう考えたらいい
あの人は、わがままな人なんじゃないか
都合よく赤ずきんの様に被害者の立場に立って
まわりの男たちをオオカミの様に見立てる
だから相手が加害者であるように接しても、罪悪感を感じずに正当化してしまう。
俺は、その妄想を鋭く感じ取って、いや、思い込んで、加害不安がよぎり、自分が悪いことをしている様な罪悪感に苛まれる
いや、加害不安というよりも本当は、加害者という劣位に立たされることを恐れるといった方が正確だろう
そして、接触を避ける 安全行動をとる
傷つかないために 劣等感を抱かないために
周りの人に悪く思われないために
そしてそんなことをするから恨みに反転する
ああ、結局、自分も被害者の立場に立って、「我に正義あり」と思い込みたいだけなんだろう、という自責のツッコミが打ちつける
ただ実際、自分は悪いことも恥じることもしてないじゃないか
歪んだ認知のために思い込みに支配されても、加害行為はとってない
頭の中から外には出してないんだ
あの人は、思い込みからの加害行為を表に出した
そしてちっとも悪いとも思っていない
赤ずきんの衣を羽織るから
俺はそんなことしない
コントロールされて犠牲者になりたくない
そんな怒りはあれど、悪さはしない
だから堂々と胸を張って、自分のいいと思う様に行動すればいいんだ
「俺は劣等感は強いが、決して、劣等などではないんだ」