『放課後倶楽部』の活動日記

放課後の語り場。部員募集中。

【鹿児島旅行想記】対米戦争について考える

 GO TOトラベルを利用して鹿児島県に旅行に行ってきた。

知覧特攻平和会館薩摩藩の資料館を回りこの国の歴史について色々と考えた。

 

なぜ日本はアメリカを相手に真珠湾を奇襲し戦争へ突入したのか。

なぜ自ら武力攻撃を仕掛けておいて、特攻隊員達はこの国を守るという清烈な正義感と家族を想う心優しい気持ちをしたため手紙や遺書を残すことができたのか。

なぜアメリカでは未だに半数以上の人間が原爆は正しかったと言っているのか。

 

一体、あの戦争とは何だったのか…

 

大航海時代、スペインは植民地を獲得するため日本に派遣した宣教師から情報を収集していた。日本側は布教を禁止し、一説によればスペインに対抗するために秀吉は中国の支配を目論んだという。(『戦国日本と大航海時代 - 秀吉・家康・政宗の外交戦略』 (中公新書))

時は流れ、再び植民地を求めて西欧列強が日本に押し寄せ、薩摩藩は薩英戦争に敗れることになる。

燃料の補給や難破船の保護を求めて近づいたアメリカは同時に軍艦の大砲を打ち鳴らし治外法権関税自主権の撤廃を飲ませた。

植民地化を逃れるため急速に近代化を進めた日本は、西欧諸国の弱肉強食の戦いが世界中に広まっている現実を目の当たりにし、東アジアのイロコイ族(生き残ったインディアン)になるべく朝鮮、満州を支配していった。

西欧列強が中心となった国際社会では、優生思想の元、優秀な白人が劣等な有色人種を支配するのは当然であるという白人至上主義が横行していた。

自尊心と劣等感の狭間で、日本では軍国主義が台頭し、欧米への抵抗とアジアの支配という矛盾した正義の中で理性的な判断力とコントロールを失っていく。

 

混沌と狂気が渦巻く中、18,19歳の青少年がなぜあの様な凛々しい姿で写真に納まることができたのか、なぜ時代を超えて心を打つ手紙や遺書を書くことができたのか。

メディアでは、作為的演出であるとか検閲があったからとか言われる。

確かに、時代や軍隊組織の在り方を鑑みれば、強制的空気はあっただろうし、つらい思いをした人もいただろう。

 しかし、実際に表情や肉筆の文などを見れば、彼らの決心に偽造ではない真なるものがあったことは明らかである。

極限の状態の中で深く研ぎ澄まされ、飛躍し成熟した精神は暗い環境の影響によっても卑弱に歪んでしまうことはなかった。

特攻作戦を美化して称賛するわけではない。

ただ、彼らの命を奉げた決死の行為を自らの思想信条を主張したいがために、ありのままを感じ取ることなく無価値に扱うべきではない。

無意味な死を強いられたかわいそうな人たち、として反省材料に利用するのは、単純に彼らの魂を軽んじる行為である。

 

日本こそが被害者であり、本当の正義であったと言いたいわけではない。

特にアジアに対する支配と暴力を無視することは許されないのだから。

また、欧米諸国、アメリカにも事情があり、彼らも生き残るために、尊厳を守るために戦ってきた。そこには各々の正義があった。

それは理解しなければいけないと思う。

 

ただ、一般のアメリカ人は日本側から見た歴史をほとんど知らないのだろう。

アメリカの教科書にペリー来航以来のことが詳しく書いてあるとも思えない。

恐らく、よくわからないがいきなり狂った軍国主義国家に攻撃を仕掛けられたというような印象なのだろう。

そうでないと、未だに原爆や無差別空襲を正しかったと言っている意味が分からない。

 

アメリカの人種差別問題を見ても、国の成り立ちからして血塗られているから根底まで遡って見直さなければいけない、歴史的彫像も壊してしまえという意見まで出ている。

しかし、像も認識も破壊してひっくり返すことはないだろう。

そうすれば連鎖して対日戦争をとっても元はといえばアメリカに非があったということまで言わなければいけなくなる。

そんな事態になればアメリカは沈鬱しかねない。

だからアメリカの正義に都合の悪い歴史の書き方はせず、原爆についても独善的な意見が出てくる。

 

あの時代あの戦争によって日本は道を誤ったが、世界中を覆った暗黒のうねりの中でも心の目を濁すことなく、真っ直ぐに正義を見極めて死んだ人たちがいた。

 

薩摩藩の抗戦にしろ、特攻隊の戦死にしろ、今の平和は多くの犠牲の上に築かれたものであり、その思いに報いるためにも、二度と戦争にならないように戦わなければいけないと思う。

 

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西郷さん

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特攻隊員像

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知覧特攻平和会館の誓いの碑